1. 施術者による技術・知識のばらつきが大きい
筋膜リリースは、筋膜の連鎖(アナトミートレインなど)や体の構造に関する深い知識と繊細な触診技術を必要とします。

誤った施術: 知識や技術が不十分な施術者が、単なる強いマッサージを「筋膜リリース」と称して行うことがあります。筋膜は非常に薄い組織であるため、強い刺激は炎症や痛みの悪化(揉み返し)を引き起こす可能性があり、結果として「効果がない」と感じさせてしまいます。

局所的なアプローチ: 筋膜は全身を繋いでいるため、痛みの出ている部位だけをほぐしても根本的な改善に繋がりにくい場合があります。原因となっている離れた部位の筋膜にアプローチできなければ、効果は一時的で終わってしまいます。

2. 誇大広告や曖昧な説明が多い
一部のサロンや商品では、「劇的に痩せる」「どんな不調も治る」といった科学的根拠に乏しい誇大な広告が見受けられます。

過剰な期待と現実のギャップ: このような広告により、利用者が過剰な期待を抱き、実際の結果とのギャップから「胡散臭い」「効果なし」と判断されてしまうことがあります。

「ハイドロリリース」との混同: 近年注目された「ハイドロリリース注射(筋膜と筋肉の間に生理食塩水を注入し滑りを良くする医療行為)」と、手技による筋膜リリースが混同され、誤解を生んでいるケースもあります。

3. 科学的根拠(エビデンス)が発展途上である
筋膜リリースの効果を示す研究は増加傾向にありますが、そのメカニズム(特に神経学的・生化学的な作用)の全容はまだ完全に解明されていません。

客観性の低さ: 施術効果が施術者のスキルや患者の主観的な感覚に依存する部分が大きいため、大規模な臨床試験での再現性や客観的な評価が難しいという課題があり、「エビデンス不足」と批判されることがあります。

要するに、「効果なし」と言われるのは、「筋膜リリース」という言葉だけが先行し、正しい知識や技術が伴わなかったり、広告が過剰であったりするケースが多いためです。正しい理論に基づき、適切な強さで実施すれば、多くの人に有効性が期待できる手法だと考えられています。