文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7月16日、国民に対し「(大統領選の)公約を守れず申し訳ない」と陳謝する事態に追い込まれた。革新系の文政権は、支持基盤の労働者層への支援として、2020年に最低賃金を、日本を上回る1万ウォン(約1000円)に引き上げると約束していたが、その達成が事実上不可能になったためだ。

(中略)

文政権が公約にこだわれば、20年に最低賃金を一気に約20%引き上げる必要があるが、文氏は公約達成を諦めた。内需振興と所得配分の改善を旗印とした“大盤振る舞い”のポピュリズム政策の悪影響を覆い隠せなくなったからだ。

 韓国経済の閉塞(へいそく)感は強まっている。最低賃金の引き上げで零細自営業者らの経営は打撃を受け、雇用不振は深刻だ。

支持層の受けが良い政策だけを泥縄式に続けるポピュリズムの先にあるのは韓国経済の自壊ではないか。文氏は支持層に偏重した経済政策の限界を自覚するべきだろう。

大統領選での公約を諦めたということは、韓国民との約束をも反故にしたということ。
経済回復を信じて文大統領に託した人々の期待を蔑ろにしたということだ。