4,「地対協」がエセ同和行為を批判
 エセ同和行為は同和行政の開始と共にでてきたものである。いわば、部落解放運動団体に対する恐怖と癒着が背景にある。
 地域改善対策協議会「地対協」の意見具申でもエセ同和行為の問題点が指摘されている。
 具申は、エセ同和団体の同和を利用した行為について、「・・・長年にわたって地道に続けられてきた努力とその成果がこれらによって踏みにじられ、同和問題が国民からますます遊離したものとなってしまうことは、今後の円滑、効果的な啓発活動を進める上でも何としても避けねばならない。これは、真剣にこの問題に取り組んできた者にとって共通の思いであり、これら、えせ同和団体の横行を現状のままで放置することはできない。」、「国民や企業においても、不当な要求に屈することなく、勇気を持ってこれら団体に対処するとともに、最寄りの関係行政機関への情報の提供という面での協力も期待されるところである。」という指摘した。
「いわゆるエセ同和団体や、エセ同和行為の横行は、今日、重大な社会問題であり、また、同和問題の国民的理解を妨げる大きな要因である。エセ同和行為とは、何らかの利権を得るため同和問題を口実にして企業・行政機関等へ不当な圧力をかける問題行為である。一昨年の地対協意見具申では、えせ同和団体の排除が指摘されたところであるが、えせ同和行為の中には、既存の民間運動団体の構成員によって行われるものもあり、排除の対象としては、それも含めて、エセ同和団体ではなく、エセ同和行為としていくべきである。」とはじめてエセ同和行為を行政の「対応団体」や「非対応団体」にかかわりなく、行為そのものをエセ同和行為として規定し、弾劾した。
「民間運動団体の指導者の多くは、差別を口実にわずかな金品でももらうことは運動の趣旨に反するので、そのような者がいれば、団体の一員であっても・・・・このことは、民間運動団体内部においても周知され、エセ同和行為排除のための自律機能や自浄能力を高める努力に結びつけられる必要がある」と指摘している。はじめて民間運動団体の指導者という形で、「対応団体」役員が関与するエセ同和行為を批判した。
「エセ同和行為は、・・・・・国民に対して、この問題に対する誤った意識を植え付け、同和問題解決の大きな阻害要因となっている。・・・・なお、同調査(一九九五・平成七年)結果では、エセ同和行為に対して行政機関が無責任な対応をし、企業が不信感を持っていることをうかがわせる・・・行政機関が率先して毅然とした態度をとるよう特に徹底すべきである。」と行政の曖昧な対応がエセ同和行為を発生させているとの指摘がはじめてされた。