マッチングアプリを使わないと恋人が作れなかったように、私は非モテの男でした。当時は30歳になったばかりで、安いアパートに暮らしていたんです。身だしなみについては工場勤務だったこともあり、ときに気をつけていません。

一応収入だけはそれなりに多かったから、「どうせずっと独身だけど、お金も貯まってきたし家を買うかなぁ」と考えていました。ただ、マイホームの間取りなどを見ていると「うーん、これだけ広いと1人は寂しいだろうな…」と思い、ダメ元で恋人を探し始めたのです。

マッチングアプリでは男女問わず写メを掲載している人がいまして、アプリを使う男には結構イケメンも多かったから、「これは、自分くらいのレベルでは厳しいな…」と早くも諦めムードでした。とはいえ、私と同じように『顔写真を載せていない子』であれば対等だと思い、何度か声かけをしたのです。

女性とのコミュニケーションに慣れていない私は多くの人にスルーされましたが、1人だけ返事をくれた子がいました。その子はA(仮名)としますが、Aは24歳と年下ながらも明るく、私にも気さくに話しかけてくれたのです。

そんなAと話していると「この子とデートできなかったら、もう会える子はいないかもな」なんて考えて、玉砕覚悟で誘ってみました。するとAは喜んで応じてくれまして、自分で誘ったもののびっくりしましたね。

ちなみにAは老け顔の私と違って若々しく、しかも結構可愛いです。こんな子とはデートできただけでもラッキーで、「多分、長続きしないだろうなぁ」とまたネガティブなことを考えていました。ですが、Aはなぜか私を気に入ってくれたのです。

初デート後はAからちょくちょくお誘いが来まして、自然と付き合うようになりました。付き合うようになるとAはよく私の家に遊びに来て、片付けや料理をしてくれたのです。どうやらAからすると、だらしない私は世話のし甲斐があるみたいでした。

そんなある日、Aが私の持っているマイホーム紹介雑誌を見て「家買うの?」と聞いてきたから、「うん、そのつもり。だけど1人だと寂しいから、結婚して一緒に住まない?」と冗談交じりで言ってみたのです。Aは理想的な恋人でしたが、結婚はさすがに厳しいかとも思ったのですが…。

するとAは泣きながら喜んでくれて、私の冗談をプロポーズだと受け取ったのです。こうなるともうAが可愛くて仕方なくなり、ようやく私は「この子はずっと一緒にいてくれる」と信じられました。

マッチングアプリでAと結婚するまでの流れは自然すぎて、我ながら幸運としか言えません。