お伊勢さんのお膝元で、私どもは赤福餅一筋に、お伊勢参りの皆さまをお迎えして参りました。昔も今も、そして、これからも。
赤福本店の建物は明治以来130年余り、大切にして参りました。
伊勢らしい切妻屋根は間口を広げるために高くし、正面に掲げた横書きの大きな看板には金色で赤福の二文字。妻入りの軒先にかかる海老茶色ののれんをくぐると、朱塗りのかまどから湯気が立ち昇っています。地元度会産の番茶を焙じる香ばしい薫りが広がる店内では、餅入れさんと呼ぶ女性職人が繊細な指先で、赤福餅の三筋の清流を一つ一つ真心こめて形づくります。