1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件。犯人として逮捕された当時14才の少年Aによる手記『絶歌』(太田出版)が発売された。
『絶歌』批判殺到で注目される「サムの息子法」って何?
酒鬼薔薇聖人こと少年Aが手記『絶歌』を出版し、批判の声が殺到。
そこでニューヨークの州法「サムの息子法」が注目されているそうです。
加害男性が手記を出すということは、本日の報道で知りました。
彼に大事な子どもの命を奪われた遺族としては、以前から、彼がメディアに出すようなことはしてほしくないと伝えていましたが、私たちの思いは完全に無視されてしまいました。なぜ、このようにさらに私たちを苦しめることをしようとするのか、全く理解できません。
神戸連続児童殺傷事件の加害男性が手記を出版するとのことを、今日の朝、新聞社からの電話で知り驚いています。
何事にも順序というものがあり、本来なら当事者である私たち遺族や被害者が最初に知るべき重要な事柄が、このように間接的な形で知らされたことは非常に残念に思います。
もちろん、私の手元には現時点で手記も手紙も届いてはいません。
小学4年の山下彩花ちゃん=当時(10)=を殺害された母親の京子さん(59)の母コメント
神戸市須磨区で1997年に起きた連続児童殺傷事件で、加害男性(32)が手記を出すことを受け、小学6年の土師淳君=当時(11)=を殺害された父親の守さん(59)がコメントを出した。
神戸市須磨区で1997年に起きた連続児童殺傷事件の加害男性(32)が手記を出版
サムの息子法とは1977年にアメリカ・ニューヨークで若い女性やカップルら6人が襲われた、連続猟奇殺人事件がきっかけで制定されたもの。
世界に目を向けると、犯罪の商業利用を規制する法律がある。米国では1970年代以降、凶悪犯が自らの事件の内幕を出版したり、映画化の権利を売るなどして多額の利益を得るケースが相次いだ。
有名なのが、ニューヨークで若い女性やカップル計6人を射殺、すべての現場に「サムの息子」という署名を残した猟奇的殺人犯・デビッド・バーコウィッツの独占手記を手にするため、多くの出版社が巨額の報酬を持ちかけた騒動である。
そのオファー額はなんと25万ドル(当時のレートで約6700万円)。ニューヨーク州議会はこのクレイジーな騒ぎを収めようと、出版による収入を被害者への保証金にあてることを内容とした、サムの息子法を定めたのである。
オーストラリアでも「差し押さえ法」と呼ばれる同様の法律が定められおり、英国では冷戦時代にソ連のスパイだった元英秘密情報部員が出版した自叙伝に対する印税支払いを求める裁判が起こり、裁判所は「犯罪行為から犯罪者が収入を得ることはできない」という判決を出したこともある。
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