こちらでもまとめられています。
坂倉昇平氏(NPO法人POSSE)による紅白歌合戦解説がすごい
坂倉昇平氏(雑誌『POSSE』編集長)が2013年末のNHK紅白歌合戦の深夜に、出場歌手にあわせてひたすら労働問題を重ね合わせてツイートしていました。内容もさることながら執念がすごい…。
SEXY ZONEは18歳未満が3人いるみたいなので、彼らは4時間半後のカウントダウンライブでは労基法的にこのような登場になっているはず。 https://twitter.com/magazine_posse/status/417957471441788928
【年末定期】毎年恒例ジャニーズカウントダウンライブでは、労働基準法を逃れるため、18歳未満のメンバーは「労働者」ではなく、観客席の最前列で「客」としてコートを着て、歌ったり踊ったりする姿が「映り込む」。ステージ上で歌う映像が流れることもあるが、画面端に「録画」と表示されている。
NMBにとって13年は48グループ内の競争を加速させる一年だった。友情より競争、二番なんかいらん、ライバルをどつき倒してカチコミだと息巻く1stアルバムの表題曲「てっぺんとったんで」の歌詞は、競争を軸にした48Gの物語の真骨頂だった。 http://www.kasi-time.com/item-65628.html
徳永英明「夢を信じて」が主題歌だったアニメの「ドラゴンクエスト」って、貧困で売られた弟のために金を集める戦士のデイジーってキャラがいましたよね。
ポルノグラフィティ、今年発売のベストアルバム唯一の新曲「ひとひら」が残業の歌なんですよね。深夜のオフィスに一人残った「君」が、過去の思い出を振り返るという…。デビューから15年を経たバンドの過去の振り返りと重なっているとか。 http://j-lyric.net/artist/a000611/l02f1ce.html
「進撃の巨人」。壁に閉じ込められた社会で巨人の襲撃と戦いつつ、壁の外側を志向する物語は、グローバル化のなかで日本社会の閉鎖的な規制の限界が明らかになる中、その改革を求める声が高まる現実が重なる。…とか言ってる人多そうだな(笑)私もそうですけど。
2013年、SKEはメンバーが大勢卒業した。大手事務所に所属できず外部のオーディション参加も禁止され、夢を叶えようのないまま。卒業メンバーが歌った「それを青春と呼ぶ日」は、秋元康が彼女たちに花道を与えたいわば転職の歌でもある。 http://www.youtube.com/watch?v=tS1mVBjjPkA
坂本冬美「男の火祭り」。「日本の男は身を粉にして働いて」ってすごい歌詞だな(笑)そもそもそれって戦後の幻想なんじゃないかと疑ってしまうんだけど。
ももいろクローバーZは12年に直球で「労働讃歌」がありましたね。大槻ケンヂ作詞ということで「暁の戦力外部隊」のような80年代サブカル的アウトサイダー像が、10年代にノンエリート労働者のモデルとしてバージョンアップされたと言えるのかも。 http://www.youtube.com/watch?v=GDhFNdmVR5U
ゴールデンボンバーは今年のシングル「Dance My Generation」やってほしかったな。バブルを懐古するも「ハリーアップ! アルバイト!」と仕事のない現実が哀しみを誘う。MVの最後には「失業率95%」という恐怖の文字が…。 http://www.youtube.com/watch?v=7Bgr76R0eeg
あと仕事についてほとんど歌っていないaikoですが、01年のカップリング曲である「陽と陰」に 「この先勇敢な戦士になるの?それとも負け犬になるの?」というフレーズがあった。 http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND16089/index.html
会いたくて震えてばかりいる印象のある西野カナさんですが、それはときに長時間労働のせいでもある。「Thinking of you」はこんな歌詞。「あの子は今仕事が大変みたいだね/連絡ないけど元気なのかな?」 http://www.kasi-time.com/item-53730.html
関ジャニメドレーの冒頭で歌われたシングル「へそ曲がり」は「「ぼちぼち」を奪い合うような争い」を否定しながら、自分流の道をいくという歌ですよね。関ジャニは仕事の歌が多いイメージ。6人時代のSMAPみたいな。
労働っぽい歌ネタ、さすがに厳しい…。言いそびれたけどきゃりーぱみゅぱみゅは12年の「きゃりーANAN」がありますよね。バイト求人誌anのタイアップ。夢と欲しいもののために毎日働くポジティブなアルバイト像ってどれくらい通用するんだろ…? http://www.youtube.com/watch?v=hn95Ty1hypQ
Perfumeで労働の歌って思いつかないけど、今年のアルバム曲「Clockwork」は、「ポリリズム」の「プラスチックみたいな恋」のように、「時計仕掛け」を肯定的なシステムとして逆説的にとらえなおしている歌詞が興味深かったですね。 http://www.youtube.com/watch?v=m1rCtfZIrJk
ゆずの労働っぽい歌でいうと、最新シングルのカップリングで、路上ライブ時代から演奏され初CD化された「値札」が収録されている。「すぐにも値札が付きそうなそんなやつには絶対になりたくないよ」という歌詞がありますね。フォークソングっぽい。 http://www.youtube.com/watch?v=XQ5cQM0hQb0
美輪明宏さんについてのツイートは昨年の「ヨイトマケの唄」で炎上したから自粛しよう。 https://twitter.com/magazine_posse/status/285741489315782657
「ヨイトマケの唄」は圧倒的にいい歌だと思うけれど、貧しいなかでも頑張って働く母親の「美しさ」が、貧困は家族でまず支えるべきだというロジックに使われてはいけないということを、今年の終わりに改めて確認しておいたほうがいいと思う。
昨年の紅白で美輪明宏が歌った「ヨイトマケの歌」も、そのカップリングで今年披露された「ふるさとの空の下に」も、戦後復興から高度経済成長へ、がんばって働けば報われるという物語が機能していた時代の歌だった。新卒の正社員すら使い捨てになるブラック企業の時代には、どこか羨ましくすら見える。
「恋するフォーチュンクッキー」はMV冒頭で黒人DJが「カネがない、仕事がキビシイ」と宣言する、貧困と過労の時代の音頭であると同時に、総選挙を制した指原莉乃センターの「人気投票1位」という歌詞で競争を相対化する物語でもあると主張したい。 http://www.youtube.com/watch?v=dFf4AgBNR1E
AKB大島優子は事務所的にも経験・スキル的にも、彼女の「夢」を心配する人はいないだろう。AKBという組織の責任がむしろ足枷になってたわけで。組織の責任と自分の叶えたい「夢」の狭間で今後一層苦しむのは髙橋みなみだろう。将来を不安視した若手メンバーの卒業とは別の労働問題がここにある。
福山雅治というとまず90年代の「HELLO」を思い出す世代なんですが、この歌は「そんなはずはないさ」「25時の電話のベル 土曜日の仕事」で始まるんですよねー。これも長時間労働の歌だ。
泉谷しげるは名曲「春夏秋冬」もいいけど、同じアルバムに収録されている「街はぱれえど」(72年)もいいですよね。残業と低賃金と上司の視線のなか細々と生きる日本の労働者の姿は、40年後のいまもなおリアルだ。 http://www.youtube.com/watch?v=y0PBRym-V4o
いきものがかりに労働の歌なんてありましたかね…。シングル「いつだって僕らは」がユーキャンのタイアップなので、資格を身につけて新しい職業をめざす歌という側面はありますね。
嵐メドレーの冒頭のシングル「Endless Game」は、松田優作の映画で有名な「家族ゲーム」のリメイク版ドラマの主題歌。家庭教師の櫻井翔が日本的な家族を崩壊させる話。なお人事部でリストラ担当者だった父親は自身も解雇されてハロワで求職するという展開でしたね…。
松田聖子の「あなたに逢いたくて」。恋人と別れて「毎日忙しくしているわ」というところに、女性の総合職が一定広がっていった90年代を重ねることもできるかもしれない。
日本型雇用がまだ安定していた時代に仕事を愚痴った「たぶんオーライ」(95年)から20年、日本型雇用が変容したブラック企業と非正規雇用の時代に「生真面目さん」な働き方から距離をとる「JOY!」は、意外と本気で日本の働き方の新しい方向性を志向しているんじゃないかと思っている。
- 1
- 2