中日・井端弘和内野手(38)が4日、退団を決断し、16年在籍した球団に別れを告げた。今季年俸1億9000万円から、1億5000万円以上の大減俸を提示されていたが、交渉が決裂し、自由契約の手続きが取られた。
この日午前まで電話で交渉したという西山和夫球団代表は、秋季キャンプ中のナゴヤ球場内で会見。「話し合いを続けてきたが、ご本人の意思が固く、契約更新を断念せざるを得なくなりました」と明かした。同球団代表は「金額のことで最終的に決断されたわけではないと思う」と話したが、大幅な減俸提示が退団に至る要因になったことは間違いない。
井端は5年契約が終了する今季、100試合で打率2割3分6厘にとどまった。10月からの下交渉で球団は3000万円前後の来季年俸を提示。今季の1億9000万円から制限の40%をはるかに超える80%以上の減額に井端は同意せず、第2次戦力外通告の最終日だったこの日、交渉の打ち切りと退団が決定した。
10月に右肘、右足首を手術した井端は球団を通して「今後のことは何も考えていません。この先、何をするにしても、手術した手と足の治療は必要です。今は何も考えず、リハビリに専念します」とコメント。「何をするにしても」という表現からは、獲得球団がない場合の現役引退も覚悟していることがうかがえる。
球団トレーナーらによれば手術箇所の回復は順調で、来年2月のキャンプインからの全力プレーは難しくても、開幕には万全となる見通し。3月のWBCでの大活躍も記憶に新しく、他球団の獲得に向けた動きを待つ。
中日・荒木雅博内野手「二遊間コンビとして僕を引っ張ってもらって、ここまでやってこられたのも井端さんのおかげなので感謝しています。長い間、一緒に頑張ってきたので、とても寂しい」
◆野球協約第92条(参稼報酬の減額制限) 次年度選手契約が締結される場合、選手のその年度の参稼報酬の金額から以下のパーセンテージを超えて減額されることはない。ただし、選手の同意があればこの限りではない。選手のその年度の参稼報酬の金額が1億円を超えている場合、40パーセントまでとする。(一部抜粋)
◆井端 弘和(いばた・ひろかず)1975年5月12日生まれ、神奈川県出身。38歳。堀越高から亜大を経て、97年ドラフト5位で中日に入団。ベストナイン5回(02、04~07年)、ゴールデン・グラブ賞7回(04~09、12年)。今年のWBCではベストナインに選出された。173センチ、75キロ。右投右打。家族は元アナウンサーの明子夫人(34)と1男。