ヒット作の続編をつくれば、リスクは少ないし、大きな予算を動かしやすいのに、(ジブリは)それをしません。なぜかといえば、「自分たちの作りたいものを作り続ける」ということを第一に考えているからです。そして、そうしたなかにあってもジブリの人たちは『風立ちぬ』のような、今の時代に合わせて新しい試みを行った作品を、しっかりと生み出しています。
それは時代に迎合しているということではなく、時代性を嗅ぎ取る感性があるからこそできることなのです。
以前、鈴木さんに「時代に合わせて作品を作っているんですか?」と聞いてみたことがあります。そうすると、「どんな作品であっても時代は反映する。何をつくったとしても、それはその次代の雰囲気を反映せざるを得ない」という答えが返ってきました。「作品はなんだっていい。どんな作品でも、その作品なりに時代を反映させるやり方がある」とも話していました。
要するに、ジブリの人たちは、「そのときにつくりたい作品を、その時代に合わせてつくっている」ということだと思います。