宅建や宅建士は「宅地建物取引士」の略称で、毎年20万人前後の受験者数を誇る最大規模の国家資格です。宅建とは、不動産取引の専門家(宅建士)を示す資格です。
宅建士になるための試験を宅建試験といいます。宅建試験に合格すると宅建士として、不動産の売買や賃貸物件のあっせんをする際に、その土地や建物について専門知識を有していないお客様に詳しい説明をすることができるようになります。
宅建士とは、「宅地建物取引業者」で働く従業員をイメージされると良いでしょう。宅地建物取引業者とはいわゆる不動産会社のことで、土地や建物の売買、賃貸物件のあっせんなどを行っています。不動産取引はとても高額です。お客様の多くは不動産に関する専門知識や売買経験がほとんどないため、不当な契約を結んでしまうと思わぬ損害を被ることがあります。
そのようなことがないよう、お客様が知っておくべき事項(重要事項)を説明するのが宅建士の仕事。そして、重要事項の説明をお客様にできるのは宅建士だけです。宅建とは、不動産取引の専門家を示す資格、といえるでしょう。
試験科目は「宅建業法」「法令上の制限」「その他の法令」「権利関係」の4科目。四肢択一式による筆記試験です。解答用紙はマークシート方式となっています。
宅建試験は、以下の7分野から出題されます。
土地の形質・地積・地目および種別、建物の形質・構造・種別に関すること。
土地および建物についての権利および権利の変動に関する法令に関すること。
土地および建物についての法令上の制限に関すること。
宅地および建物についての税に関する法令に関すること。
宅地および建物の需給に関する法令および実務に関すること。
宅地および建物の価格の評定に関すること。
宅地建物取引業法および同法の関係法令に関すること。
こうした言葉だけを見ると一見、難しそうに感じますが、実際はそうではありません。 宅建試験では、専門的な知識・理論ではなく、あくまでも基本的な事項からまんべんなく出題されます。
平成28年度は,245,742人もの人が宅建試験を申し込んでいます(受験者は198,463人)。
先ほども述べたように,法律上,宅地建物取引士にしかできない業務が定められている上,宅建業者(いわゆる不動産屋)の事務所では従業員の5人に1人以上の割合で宅建士を置くことが義務付けられているため,様々な業界で重宝されている資格です。
年齢や国籍、学歴、実務経験といった受験制限がなく、誰でも受験ができるため、受験者層はサラリーマン、学生、主婦と実にさまざまです。そうした受験のしやすさもあり、令和元年、受験者数が22万人超を記録し、過去10年で最も多い回となりました。
宅地建物取引士は、2015年から弁護士・司法書士・税理士・公認会計士・行政書士・社会保険労務士などと同じ「士業」となり、より取得価値の高い資格となりました。近年の合格率は15%台で推移しており、弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士などの「士業」の中では、比較的合格しやすい試験としても注目されています。
宅建士試験は通常50点満点ですが、宅建業者の方が「登録講習(5点免除講習)」を受講・修了すると、3年以内に行われる試験において45点満点(5問免除)になります。
非常に幅広い範囲からの出題になるので、勉強する範囲も広くなるのですが、すべての科目を完璧に勉強することはなかなかできることではありません。
そのため、出題数が多い科目に絞り込んで勉強することがおすすめなのです。
勉強時間のうち7割程度を「宅建業法」と「権利関係」に当てて優先的に勉強すれば、無理に全体を勉強するよりも点数を取りやすくなるでしょう。
勉強期間中はできるだけ毎日勉強するようにして、勉強しない日を作らない方が得策です。
宅建で習得する内容は、学校の勉強で言う計算問題のように反復練習で実力が付くようなタイプではなく、歴史などのように暗記する内容が多いため、いかにして覚えておくかがポイントになります。
人間の脳は刺激を与えないでいると忘れていくので、できるだけ毎日勉強する方が良いのです。
毎日勉強する時間を作るのは大変ですが、宅建に合格するまでの間の辛抱と考えて、毎日取り組むようにしましょう。
宅建で必要な知識は、ほとんどが暗記しなければならないものです。しかし、中には条文や判例なども含まれていて、その具体的な内容はしっかり理解する必要があります。
宅建で出題されるのは4択問題のみでも、正誤を見極めると同時に、何が問われているのかを整理しなければなりません。
あてずっぽうでも当たる可能性はありますが、後々のことを考えるとしっかりと内容を理解しておく方が良いでしょう。
もしも、問題文を読んで理解できないと感じるなら、過去問や問題集に戻って再度勉強し直してみてください。必要に応じて解説を読むのも良い方法です。
どうしても理解できない!という内容なら、「これはこういうもの」として暗記するのもアリです。
脳は寝ている間に記憶を整理して定着させるので、寝る直前に覚えたことは忘れにくいと言われているからです。
寝る前の30分を暗記の時間に当てて、翌日に復習するといった方法を試してみましょう。
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