「認知症」は病名ではなく、認識したり、記憶したり、判断したりする力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態のこと。
認知症は「老化によるもの忘れ」とは違います。認知症は、何かの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態をいいます。
「同じことを繰り返し言う」「以前はできていたことができなくなる」「同じ服ばかり着る」「物忘れや探し物の回数が増える
などが挙げられます。
自分の年齢や「今日は何年何月何日の何曜日か」「今の季節は何か」「今どこにいるか」などがわからなくなっている様子が見られたら、認知症の初期症状といえます。
中核症状には、「記憶障害」「見当識障害」「失認・失行・失語」「実行機能障害・判断力障害
があります。認知症の原因となる疾患によって脳細胞が委縮したり変性するために起こると見られています。
アルツハイマー病は、不可逆的な進行性の脳疾患で、記憶や思考能力がゆっくりと障害され、最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる病気です。ほとんどのアルツハイマー病の患者では、60歳以降に初めて症状が現れます。
脳の血管が詰まると脳梗塞になり、血管がもろくなっている場合は脳出血となる場合もあります。脳卒中になると脳細胞が傷つき、まひや言語障害が残りやすくなってしまいます。
糖尿病になってインスリンの分泌が低下すると血糖値が高いままになり、脳血管や脳神経に障害が起こりやすくなります。また、アルツハイマー型認知症の原因になるアミロイドβたんぱくとインスリンに関係があることがわかっています。
原因は不明ですが、脳の広い範囲にレビー小体という異常な蛋白がたまり、脳の神経細胞が徐々に減っていく進行性の病気です。1990年代の後半になって広く知られるようになった比較的新しい病気です。
生活習慣病予防としても運動は大切なのですが、そもそも体を動かすのも脳が機能しているから。つまり、運動で脳を刺激することにもなるのです。
また、腰や関節などの運動器に疾患があり痛みや動きの制限があると、生活の幅が狭まり、認知症になった場合、症状が急激に進行してしまうことも多いのです。
人間は社会的動物といわれます。他人との交流がなによりも脳を刺激し、生活の豊かさをもたらします。認知症予防を通してご家族と会話する、同じ取り組みをする仲間と交流する、共同作業を行う、多くの人に成果を発表する機会をもつなどの工夫は大切です。
アルツハイマー型認知症の薬物治療には、認知機能を増強して、中核症状を少しでも改善し病気の進行を遅らせる治療と、行動・心理症状(BPSD)を抑える治療があります。薬の効果と副作用を定期的にチェックしながら、症状に合わせて使っていくので、治療中に気になる変化があれば医師に相談することで、より良い治療につながります。
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