乳がんの約95%以上が乳管の上皮細胞にできる乳管がん、約5%が小葉にできる小葉がんです。ほかにも粘液がんや管状がん、腺様囊胞せんようのうほうがんといった特殊なタイプの乳がんがありますが、あまり患者さんは多くはありません。
乳がんの初期症状は痛みがないケースもある?
数年前に有名な芸能人が亡くなってから「乳がん」というものに注目を置く人が増えてきました。
今回は乳がんの初期症状などについてまとめてみたので参考にしてください。
非浸潤がんと呼ばれる早期がんの段階では多くが治るといわれていますが、早期の乳がんでは自覚症状があまり感じられません。がん細胞が時間の経過とともに増殖し、浸潤がんとなり、気が付いたときには血管やリンパ管へと広がっていることがあります。
乳がんの診断を受けたときには、リンパ節や脳・骨・肺・肝臓など遠くの臓器にがん細胞が運ばれて、新しいがんを発生する遠隔転移をしていることもあります。遠隔転移をしたがんはほかの臓器に発生していても乳がんの特徴を持ち、もとからその臓器に生じるがんとは性質が異なります。
初期の乳がんの場合、痛みを伴うしこりはほとんど発生しません。そのため触って痛みがあるしこりは乳がんである可能性が低いと言えます。ただし、痛みがあるしこりだと別の病気のリスクがあるので、いずれにしてもしこりを見つけた時点で病院を受診しましょう。
手で触ったときに感じるゴリゴリしたかたまりのことです。乳腺にできるしこりは、乳がんによるものだけではなく、その90%は良性の病気によるものであるといわれています。乳がんのしこりは硬くあまり動かないのに対し、良性のしこりは弾力性があり動く傾向がありますが、感触だけで自己判断するのは危険です。
乳がんは他のがん発生同様に遺伝子の病で、細胞の遺伝子異常の蓄積によって発生することが分かっています。また、発生・進展ともにホルモンに依存している点が乳ガンの特徴です。
正常な細胞が「がん化」するには、がん化を促進する遺伝子(c-erbB-2やc-Ha+rasなど)と抑制する遺伝子が関係しています。
皮下脂肪はエネルギーだけでなくエストロゲンなどの女性ホルモンを蓄えています。乳がん発生のリスク因子として過剰な女性ホルモンの存在が指摘されており、脂肪の増加が女性ホルモンの過剰な蓄積を招くためリスク要因となります。
未婚女性は既婚女性に比べて乳がんのリスクが高いことが世界各国の研究で認められており、コホート研究(日本)によると、未婚女性の乳がん死亡率は既婚女性の3.7倍と報告されています。また、初潮の低年齢化や高齢出産、閉経年齢の高齢化なども原因のひとつと考えられています。
- 1
- 2