前立腺がんは、前立腺肥大症とともに、中高年の男性において注意すべき前立腺の病気のひとつです。
前立腺がんの発生には男性ホルモンが関与しており、加齢によるホルモンバランスの変化が影響しているものと考えられています。
前立腺がんの再発リスクは?対処のガイドライン
がんといえば、危険度の高い病気として有名でしょう。
そしてがんは、治療を終えたあとでも気をつけておく必要があります。
再発の可能性も存在するためです。
前立腺がんの再発リスクについて、詳しく理解しておきましょう。
前立腺がんはもとより、前立腺が何なのか知らないという人も、多いかもしれません。
胃がんや肺がんと異なり、あまり有名でない部位だからです。
まずは、前立腺がんの基礎について、ご紹介します。
早期の前立腺がんには、がん特有の症状はありません。
がんが進行すると、尿がでにくい、排尿時に痛みを伴う、尿や精液に血が混じる、などの症状がみられることがあります。
がん細胞は、リンパ液や血液の流れに乗って他の場所に移動し、そこで増殖することもあります。これを転移といいます。前立腺がんは近くのリンパ節(リンパの関所のような場所)や骨に転移することが多く、肺、肝臓などに転移することもあります。
前立腺は男性の精液の一部をつくる栗の実の形をした臓器で、膀胱の下・直腸の前にあります(左右の部分に分けて、それぞれ左葉、右葉と呼ぶこともあります)。前立腺がんは、この前立腺の細胞が何らかの原因で無秩序に増殖を繰り返す疾患です。
前立腺は精液の一部に含まれる前立腺液をつくっています。前立腺液には、PSAというタンパク質が含まれています。ほとんどのPSAは前立腺から精液中に分泌されますが、ごく一部は血液中に取り込まれます。
前立腺がんのリスクとして、転移と再発の2つを気にしておく必要があります。
いずれも二次的症状ですが、それぞれ意味は異なります。
転移と再発がどのようなものなのか、ご紹介します。
「転移」とは、がん細胞が最初に発生した場所から、血管やリンパに入り込み、血液やリンパの流れに乗って別の臓器や器官に移動し、そこでふえることをいいます。
リンパの流れが集まる場所であるリンパ節に転移したり、肺や肝臓、脳、骨など血液の流れが豊富な場所に転移することが多いです。
再発というのは、放射線治療や薬物療法でいったん小さくなったがん細胞が再び大きくなってしまったり、手術で除去しきれなかった小さいがん細胞が再び出現してしまったり、また他の部位に同じがん細胞が出現してしまったりするケースを言います。
がん治療の難しいところは、がん細胞が散って細胞レベルで転移していても肉眼で確認することができません。散らばったがん細胞をすべて取り除くことができなければ、やがてがん細胞は再発します。
「手術をしたのに再発したのは納得できない」とか「副作用を我慢して無駄な抗がん剤治療を受けた」などという言葉が患者さんから聞かれることがあります。確かに納得したうえで治療を受けても、実際に再発・転移の告知を受けると、もって行き場のない気持ちは主治医に向いたりすることもあります。
がんの再発は、医師が治療においてがん細胞をとりきれなかったことが大きな要因となっています。
それだけに、再発の事実を知った患者においては、医師に怒りの矛先を向けるというケースもあるようです。
ですが、がん治療は難しい医術のひとつです。
その点も理解の上で、医師と信頼を築くことが大切でしょう。
再発時の放射線治療についてですが、一般的には、PSA値が0.2~0.4になったら、PSA再発と診断して、放射線治療を行います。
手術後、再発を待ってから放射線治療を始めるというのであれば、PSA値が0.2まで待つというのがスタンダードです。
放射線療法後に局所再発が疑われてもPSA上昇がかなり後で出てきた場合で倍加時間も長いものは、必ずしも根治を目指す必要はないかもしれません。
つまり、ゆっくりPSAが上がってきた患者さんは、観察のみでいいかもしれません。
放射線療法後に骨盤リンパ節の再発が疑われた場合、手術で骨盤リンパ節を切除する(骨盤リンパ節郭清)という方法があります。
基本は、放射線治療、もしくは経過観察が主となってきます。
ですが広く知られている通り、放射線は積極的に浴びるべき存在でもありません。
医師と綿密に相談した上で、検討すべきでしょう。
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