「転移」とは、がん細胞が最初に発生した場所から、血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官へ移動し、そこでふえることをいいます。多いのは、リンパ液の流れが集まるリンパ節への転移(リンパ行性(こうせい)転移)、肺や肝臓、脳、骨など血液の流れが豊富な場所への転移(血行性転移)です。
転移は、肺、肝臓、脳、骨などさまざまな部位に起こり得ます。原発から転移したがん病変を、転移した部位によって、肺転移、肝転移、脳転移、骨転移、腹膜転移(腹膜播種)などと呼びます。これらは、病気がその部分に広がっていることを示しています。
最初にできたがんの部位は「原発巣(げんぱつそう)」と呼ばれます。例えば、大腸に初めにがんができ、肺に転移した状態は肺がんとは呼ばれず、「大腸がんの肺転移(原発は大腸がんで、肺転移を起こした状態)」です。
肺への転移・肺からの転移ともに起きやすい
肺には、全身を流れる血液が流れ込む一方で、肺から全身へと血液が送り出されます。そのため、肺はほかの臓器に比べ癌の転移を起こしやすく、またほかの臓器からの転移も多いと考えられています。
一般に、肺から癌が転移した場合は全身療法を行います。
化学療法・放射線治療による温存療法
乳癌が転移した場合は、一般には予後が悪いと言われています。乳房内での転移は比較的治療成績はいいのですが、遠隔転移の場合はかなり難しいと考えられています。
また、放射線治療や抗がん剤治療により、乳房内の転移でも切除を避けられる可能性があります。
ある程度まで転移リスクが予想できる、胃の転移癌
胃癌は、転移先がある程度限られている上に、事前に検査によって転移するリスクを予測することができます。そのため、胃がんが発見された時点で、転移を防ぐような処置がされることが多いようです。
通常はリンパ節、腹膜播種、肝転移が多いため、ここでもその3種類を取り上げます。
がんそのものを除去する局所療法で、がん治療において最も基本的で優先される治療法です。
手術で除去できる場合、ほとんどのがん種において適応対象となります。
開腹しておこなう開腹手術のほか内視鏡手術がある。
薬物療法は、外科治療や放射線治療などの局所療法とは違い、主に全身療法に分類される治療法です。がんにおける薬物療法には主に、抗がん剤とホルモン剤があります。
放射線治療は、手術と同じくがんとその周辺を治療する局所療法に分類される治療法です。
単独または手術や抗がん剤と併用しておこなわれます。
多くのがん種において標準治療として適応されているX線やγ線による放射線治療のほか、先進医療に分類される陽子線や重粒子治療がある。
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