ホテルのインテリアに関する全米最大の見本市"HD Expo"(ホスピタリティデザイン展)とは?

ホテルインテリアのアメリカ最大の展示会"HD Expo"(ホスピタリティデザイン見本市)について

ホテルスタイル さん

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ホテルのインテリア最大の展示会"HD Expo"(ホスピタリティデザイン見本市)とは

「HD Expo」とは、「ホスピタリティ デザイン エキスポ(Hospitality Design Expo)」の略で、毎年、米ラスベガスで開催される国際的なホテル見本市で、普段、ホテル業界に関わっている会社を中心に(特にインテリア関係)、毎年11,000人の参加者と1,200の関係社の出展数を数えるホスピタリティ産業の一大トレードショーです。

一般的にホテル関係の見本市というと、料飲関係・厨房関係やフロントシステム、アメニティなど、さまざまな分野に渡りますが、この見本市は、その中でも、ホテルの「インテリア」や「デザイン」に的を絞った世界でも数少ない見本市のひとつです。


←ホテル「ベネチアン」との連絡通路に立つ「HD Expo」の案内板



巨大な有名高級ホテルが林立する都市ラスベガスは、その開催都市としては最適といえるかもしれません。
会場となる「Sands Expo & Convention Center」は、全室がスイートルームという高級ホテル「ベネチアン」と繋がっています。

出展しているのは、普段ホテルに商品を納入している会社だけでなく、設計事務所やデザイン会社、ホテルの建築・インテリアを手掛ける会社、素材・建材、内装、ディスプレイ、コンサルタント会社など・・・巾広く出展しています。

世界的にも有名なブランド、メーカー等も多く出店しています。

入場者は世界中から訪れますが、やはり地元アメリカ人が最も多く、アジア系の入場者もいますが、日本人はほとんど居ません。(TOTO、SHARP等、一部の日本企業ブースは除いて)

かつてヴェルサイユ宮殿のシャンデリア等も手掛けた高級クリスタルメーカーのスワロフスキーは最近ではファッションやインテリア業界にも進出。ブース入口にはユニークな人形が立っています。

カラフルなベッドカバー・スローの組み合わせ。日本のホテルではあまり見られない様な奇抜な色の組み合わせも向こうでは有りです。

全米ホテル業界で納入実績第1位の「Serta」のホテルベッドのコーナー。この周辺のほとんどのホテルに納入されているという、巨大有名ホテルが乱立するラスベガスでの開催だけに力も入ります。

米国仕様と日本仕様では少し仕様が異なります。たとえば、米国のホテルの客室では、上の写真の様に、ベッドの脚の上にスチールのフレーム(黒い部分)があり、その上にボトム・マットレスが載っています。床からマットレス上面までのHも日本人向け仕様よりはかなり高めになっています。

「HOSPITALITY DIVISION(ホスピタリティ ディビジョン)」とは、Sertaの「ホテル事業部」といったところ。

「デュベ(ホテル羽毛ベッドカバー)」や「ピロー(枕)」の色々なバリエーション。

普段はソファ、引き出せばベッドに早変わり、という機能的なベッドは、ソファベッド・コンバーチブルソファ・ハイダー・・・等、業界でも呼び方は色々あります。

日本ではシングルサイズがほとんどですが、これはダブルサイズのベッドが中から出てきます(しかもピローソフト仕様のマットレス)。
可動式の業務用ベッドとしての最大のポイントは、やはりその耐久性。

インテリアの世界でも、エコ・環境を考えた素材の提案は時代の趨勢。

高級バスローブやタオルも素材や仕様は様々

この見本市は、ホテルのインテリアを対象にしているにも関わらず、「ホテルデザイン」とは呼ばれず、「ホスピタリティ デザイン」と呼ばれています。
「ホスピタリティ」という言葉は一般的にはあまり馴染みの無い言葉かもしれませんが、「ホスピタリティ(hospitality)」は、もともと「ホテル(hotel)」や「ホスピタル(hospital)」の語源にもなっている言葉で、「思いやり」「おもてなし」「歓待」など、サービス業界にとっては欠かすことができない基本的な精神を表す言葉です。
「ホスピタリティ産業」とは、観光、宿泊、料飲、婚礼等の産業を指し、広義では、教育、医療、介護、福祉を含む、とても巾の広い言葉です。
それだけ、この「HD EXPO」は、ホテル業界がメインターゲットでありながらも、それにとどまらず、広くホスピタリティ産業を視野に入れた見本市といえるでしょう。

展示スペースを有効に使う為、ベッドを敢えて半分の長さで展示しているブースも。

ホテルでは植物も大事なインテリアのひとつ。プランターにも、陶器、テラコッタ、FRP、石材、金属、木製等・・・さまざまです。

インテリア素材メーカーの色々なバリエーション。

軽量感や使い勝手をアピールするスタッキングチェアー。

主にパブリックスペース等のアートワークを手掛ける会社。

物件の都度デザイン・設計を起こすホテルの椅子は、デザイン性・耐久性と座り心地のバランスが鍵。

大きな熊のオブジェが人目を惹きます。レストランのディスプレイ等をデザインする会社。

かつて、アメリカでインテリア・家具の産地といえば、ノースカロライナ州のハイポイントという町でした。現在、ラスベガスは、そのハイポイントにとってかわろうとしています。

ラスベガスには、「World Market Center」という、巨大な家具のショールームが2005年以降次々オープンし、現在3棟あるのですが、今後、計画としては8棟が計画されています。全て合わせると、敷地面積は57エーカー(約23万平方m)、もし8棟すべてが完成すると、総展示スペースは1200万平方フィート(約111万平方m)になり、総工費は30億ドル(3600億円)で、家具のショールームとしてはもちろんのこと、コンベンション施設としても世界最大になります。

毎年2回開催されている「ラスベガスマーケット」という家具の展示会では、毎回世界中から6万人を超えるバイヤーやマーチャンダイザーが既にラスベガスを訪れています。

かたや、ハイポイントはノースカロライナの田舎町の為、「移動が大変」、「スペースがたりない」・・・等といった不満の声が以前からあった様で、宿泊施設も足りないといわれてきました。このラスベガスの「World Market Center」は、こうした家具・インテリア業界のニーズをキャッチし誕生した施設で、従来からのハイポイントの家具コンベンションは、今後縮小し、いずれなくなるのでは?と危惧されています。

ノースカロライナの有名家具メーカー、トーマスビル等も出ていました。

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