糖尿病とは、インスリンの量が少なくなる、または働きが悪くなることによって血糖値が下がらなくなる病気です。
インスリンとは、すい臓で作られるホルモンの一種。血液によって全身に運ばれるなかで、血中の糖分(ブドウ糖)を筋肉や肝臓など臓器・組織へ取り込むことで血糖値を下げ、正常な状態に保つことになります。
糖尿病の治療をおこなわず放置しておくと、合併症を引き起こすリスクが極めて高くなります。
合併症には、立ちくらみや手足のしびれだけでなく、視力低下や視覚の異常をもたらす糖尿病網膜症、腎臓機能を喪失させる糖尿病性腎症など、最悪の場合、命にもかかわる病もあります。
「異常にのどが渇く」「尿の量や回数が多い」といった前兆はいくつかありますので、健康診断の血糖値が高いのとこれらの症状を感じたら、再検診することが重要です。
血液内の糖はインスリンによって臓器や組織へと運ばれるのですが、糖尿病になるとインスリンのはたらきが悪くなり血液内の糖分濃度が高まります。余分な糖分を体外に排除するためには、水が必要です。体内の水分量は十分足りていても、糖を排除するための水が不足し、それがのどの渇きという症状になって現れます。
糖尿病の初期症状にトイレが近くなる、あるいは尿の量が多くなるといったことが挙げられます。これは、体が血液中の余分な糖を体外に排出しようと反応しているサインです。
手や足のしびれは、糖尿病が起因する感覚神経障害によって起きる症状です。こうした障害を糖尿病性神経障害といい、糖尿病の3大合併症のひとつになっています。糖尿病神経障害は合併症のなかでも早期に現れる症状と言われ、自覚がない人も含めると3~4割の患者がかかっていると言われている怖い障害です。
疲れやすい・一日休んでもだるい状態が残る・倦怠感が続く・食後の眠気が強く起きていられない…という状態は、糖尿病の初期症状にあてはまります。とりわけ、食後に倦怠感や眠気が激しいというケースが多くみられます。これは、体中の細胞に栄養(ブドウ糖)が行きわたっていないことが原因。
糖尿病の合併症のひとつに糖尿病網膜症という障害があります。これは眼球を覆う網膜の血管が詰まり、目に障害を与える病気です。
血糖値の高い状態が続くと、血管を詰まらせて血流不良を起こしたり血管の壁に負担をかけたりするようになります。特に目は毛細血管が多く、こうした症状が起こりやすい場所です。
最近の研究で、肥満気味の人は肝臓から分泌されるLECT2というホルモンが多いことが確認されています。LECT2は、インスリンの働きを弱める作用があることが研究報告で明らかになっているホルモンです。
血糖値を下げる作用のあるインスリンの働きが弱まると血糖値は上昇。インスリンを分泌する臓器であるすい臓はもっと多くのインスリンを出して血糖値を下げようと作用します。
こうして、どんどんインスリンを分泌していくうちにすい臓が疲弊して、最悪の場合インスリンを分泌できなくなる可能性も。悪循環により血糖値はますます上昇して、糖尿病を発症するというわけです。
血糖値は食事をすると上昇し、空腹になると減少。健康診断は通常、朝から何も食べていない状態(空腹時)に実施されるので、計測した血糖値は少ない状態にあるはずです。空腹時の血糖値が126mg/dLを超えると糖尿病の疑いがあると診断され、再検査となります。正常域は99mg/dL。100~109mg/dLも正常域の範囲ではありますが、正常高域として注意が必要な数値です。
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