「アンタに必要なのは探偵じゃなくて精神科医みたいだな」
「さっきからキミはずいぶん悪態をついているが、攻撃的にみえてその実ドMだってことはわかってる」
「アンタに俺の何がわかる」
依頼人はペニバンを付けた女王様のように俺を見下した笑みを見せた。
「いや、キミは救いようのないM男だ。この一週間、キミのPCをハッキングしてどんなワードで検索しているか調べあげた。キミは『逆視姦』にずいぶんこだわっているようじゃないか」
俺は思わずデスクの自作PCを見た。こいつのキーボードに叩きこんだ無数のエロワードをこのいけすかない依頼人に知られたと思うと、思わず頭に血が昇っ…たわけではなく、むしろ股間に血が集まるのを感じた。
(こいつ、羞恥プレイをしかけてやがる…)
「逆視姦にこだわるというのは、キミが本物のM男でありオナニストである証拠だ。おそらくセンズリ鑑賞されたら射精は自分の手でしなければ気が済まないタイプだろう。男のセンズリを見て女が射精を手伝うAVは豚に喰われろと思っているだろう? ただし、主観アングルのオナサポは除くがね」
確かにその通りだった。センズリ鑑賞こそ、AVという虚構とオナニーする俺のリアルをつなぐ至高のジャンル。そして俺が好むのは女がオナニーする男を罵倒し嘲笑するM男向けばかりだ…。しかし…。
「ちょっと待ってくれ。一つ聞きたい。アンタが言う本物の痴女だが…目安を教えて欲しい。豊丸はどっちだ?」