「本物の痴女?」俺は聞き返した。
「ああ、本物の。私は中出しが疑似なのはいっこうに気にしないし、豊胸した巨乳は化粧の一種だと許容する男だ。だが、痴女だけは本物でないと許せんタチでね」

探偵のところに来る人間はたいてい緊張し警戒しているものだ。しかし依頼人は穏やかに笑みを浮かべ、むしろ好奇と期待に興奮しているように見えた。まるでセンズリ鑑賞する熟女のようだ。

はじめ「痴女の殿堂をつくりたい」と俺の事務所を訪ねてきたときは、ずいぶんイカれた奴が来たものだと思ったが、アフィリエイトで巨万の富を築いたというその依頼人は本気だった。

「この世には二種類のAV女優がいる。本物の痴女か、そうでないかだ。AV女優の春は短い。次々と新しい花が咲く。まして企画女優が多い痴女の花は咲いていることを誇らない。咲き誇るS級単体の陰に埋もれてしまうものだ。私はそんな花を愛でる『痴女の殿堂』をつくりたいのだ。キミはWikipediaやDMM、そしてもちろんエロ動画サイトに半生を賭けてきた愚か者だと聞いた。そんな愚か者こそ、我が花を剪定する庭師にふさわしい…」